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last update 17/Aug/2013

『天秤の魔術師アルキメデスの数学』のページ

ここでは林英治さんとの共著『天秤の魔術師アルキメデスの数学』
(林英治・斎藤憲 著.共立出版.2009年12月初版.3,300円+税)の解説・訂正などを行ないます.


早稲田大学のNathan Sidoliさんが本書の書評を英語で書いてくださいました.(Historia Mathematica, 39-2(2012). 222-224.

(2013年8月17日追記)


『天秤の魔術師アルキメデスの数学』正誤表 Ver. 1.00 (2010年6月30日版)
頁;行
13; 本文下から2 前出版された 前に出版された
51; 式(2.14)の最後の項 円PS 正(PS)
53; 式(2.22)の式番号 (2.22) (2.22) = (2.14)

別に修正するほどのことでありませんが,(2.22)式は(2.14)式と同じものです

142; (6.4) ・・・点Aに関してつり合う ・・・点Kに関してつり合う
207; 下から2行目 43葉の表(43r)と46葉の裏(46v) 43葉の裏(43v)と46葉の表(46r)
246; 参考文献[37] morittimo marittimo

この本は,1998年に写本が再発見された,アルキメデスの著作『方法』の最新の研究成果をもとに,この著作の命題を解説するものです.単に数学的内容を紹介するだけでなく,この著作で使われる仮想天秤の議論を解明し,アルキメデスの発見の現場に迫ることを目指しました.要するに「アルキメデスはどうやってこんな議論を見つけたのか」という疑問に答えようとする本です.

また,かねてから共著者の林英治さんが準備していた,天秤上でつり合う立体の写真のおかげで,『方法』を支える仮想天秤の議論を直観的に把握することができます.これ以上分かりやすく『方法』を解説することは,正直言って無理だと思います.

著者の一人として,一番自信を持っているのは,8章から10章にかけての部分です.爪形の体積は3回にわたって現存テキストでとりあげられますが,それと同じ方法で求積できるはずの交差円柱の議論は失われています.本書では,まず現存テキストを数学的に分析し,その一方で,パリンプセストとして再利用された羊皮紙と,再利用されずに失われた羊皮紙の数を数えて失われた部分の長さを確定ます.この両方の探求から,これまでなかった新しい解釈を提案しています.

ついでに,失われた(現存しない)羊皮紙の数をどうやって数えるのかというと,それはこの本を読んでください.この部分は難しい数学ではないので,数が数えられさえすれば読めます(笑).


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