日本語HOME >著作の補足と正誤表> ユークリッド『原論』の成立
last update 25/May/2003
『ユークリッド『原論』の成立』のページ
ここでは拙著『ユークリッド『原論』の成立』(東京大学出版会,1997年6月.
4,400円+税)の訂正,その後の研究成果,書誌追加などを行ないます.
本の内容の紹介や,その後の私の考えなどをいちどまとめて書きたいと思っているのですが,なかなか機会がありません.
正誤表2003年版
2003年版Ver.3.10について
今回の訂正はタイプミスではなく,内容の誤りです.プロクロスが述べる数学史の概要(エウデモスに基づくいわゆる歴史的概要)の短縮版がヘロンにも見られ
ると書いたのですが,これは校訂者のHeibergが指摘しているように,中世になってからヘロンの著作に付け加えられたものです.この部分はお詫びして
全面的に改めます.
言い訳をすれば,歴史的概要はヘロンの『定義集』にもあるとTanneryが書いているのを,本書が出る少し前に見つけて,あわてて該当箇所をヘロンの校
訂版で見つけて載せておいたというわけです.前後の文脈や,Tanneryの論文より後に出たHeibergの校訂版の解説をきちんと参照すべきでした.
1999年の正誤表第3版掲載時の解説
最近,お読みになった方から詳細な誤植,数学的な誤り,不適切な表現などのリストをいただきました.こんなに間違いがあったなんて,と一瞬気が遠くなってしまいました.二倍になった正誤表Ver.3をお届けいたします.
相変わらずの不手際をお詫びするとともに,
御指摘下さった方々に感謝いたします.
『ユークリッド『原論』の成立』正誤表Ver 3.10 (2003年5月25日版:1999年12月7日のVer.3.00を改訂)
3.10での改訂はヘロンに関するp.16とp.62の二箇所です.
Ver. 3.00で新たに追加した訂正箇所は頁数の後にアスタリスク(*)をつけました.
また以前の正誤表の訂正は二つのアスタリスク(**)で示した.
頁;行 |
誤 |
正 |
4; 下から11 |
数学者である. |
(追加) しかしタレスをギリシア的な意味での
最初の数学者とする見方は近年疑問視されている. |
5; 2 |
エウドクソス(ca. 408 -ca. 355BC) |
エウドクソス(ca. 390-ca. 337BC) |
16;14--23 |
また,プロクロスよりかなり前,...ことがわかる. |
(削除)解説:ヘロンの『定義集』の写本にあるこの記述は11世紀頃にプロクロスの記述をもとに付加されたものであると,Heibergは断定しています.([Heron-Def. GD, p.
IV].これは十分に説得力があり,ヘロンのこの一節に資料としての価値を認めることはできません.Tannery等の古い研究文献のみに基づいて誤った
記述をしたことをお詫びいたします.続く16ページの下から3行目も削除します.同様の削除箇所は62ページにもあります. |
23; 本文下から3-2* |
外部にその点と凸形の弧との間に切り取られた |
その点と凸形の弧との間で〔円の〕外部に切り取られた |
28; 5* |
できるはずある. |
できるはずである. |
28; 6 |
ABはEを |
EはABを |
28; 18* |
分離が |
分離を |
32; 下から4* |
ABEZ |
ABZE |
32; 注24, 2行目* |
『原論』3-35 |
『原論』3-36の応用 |
38; 5 |
延長上に点Γが |
延長上に点Δが |
44; 7 |
chorion |
(2つのoの上はどちらも
長音記号をつける) |
46;18* |
に伴う |
の結果として |
48; 1* |
構成的である, |
構成的である. |
50; *1 |
その起源とその性格づけに関する主張とに |
その起源に関する主張と,その性格づけに関する主張とに |
51; 6 |
sq(ΕΒ)+sq(ΕΓ) |
sq(ΔΒ)+sq(ΕΓ) |
53; 9 |
ΑΓ=ΓΔ |
ΑΓ=ΒΔ |
57; 下から1* |
という主張した. |
と主張した. |
60; 10, 注2,1行目, 注2,3行目 |
ポルフュリオス |
ポルピュリオス |
61; 6-7 |
デルフィ |
デルポイ |
62; 2-3 |
(ヘロンからの引用) |
(削除)(これは直前に引用したプロクロスの一節が,中世になってヘロンの著作に加えられたものですので資料として価値がありません.詳細は16ページへの訂正をご覧ください.) |
67; 3* |
デルフィ |
デルポイ |
78; 本文下から1* |
厳密な正5角形 |
正5角形 |
81; 12-13* |
彼は自らこの理論の発見者と称したが, |
彼はその発見者としての栄誉は受けたのだが, |
81; 21以下 |
とにかく,共測性と非共測性の本性を,その
理論に与るに値しない人たちに(anaxiois),
最初にもらした人は,ひどく憎まれたので,
共同生活と共同食事から占めだされたばかりでなく |
とにかく,
教義にあずかるに値しない人たちに(anaxiois,
最初に共測性と非共測性の本質をもらした人は,
ひどく忌み嫌われて,
共同生活や共同食事から締めだされたばかりではなく, |
83; 18 |
人物名前 |
人物の名前 |
83; 20 |
前章 |
前節 |
89; 下から3* |
損わずに |
損なわずに |
90; 4,6,8 |
A |
mA |
100; 16 |
b:a::c:a |
b:a::b:c |
103; 15* |
a, b, d |
a, b, c |
110; 本文下から3* |
用いることはない. |
用いられることはない. |
113; 10 |
(b4の2乗) |
(d4の2乗) |
114; 3 |
不可分の線に小さく |
不可分の線より小さく |
116; 下から3 |
テアイテトスの証言 |
(削除) |
117; 3* |
長さにおいて共測でない |
共測でない |
148; 14 |
ハイベルク |
Heiberg(ちなみに読みはハイベア) |
149; 14** |
この命題には |
この命題6-20には |
149; 14 |
ハイベルク |
Heiberg |
155; 2* |
相似で相似な |
相似で相似な位置に置かれた |
155; 注24,2行目 |
第1の図形 |
第1の図形(エイドス) |
156; 8** |
見出される. |
見出される([Eucl. Elem.-G, 2:232-233]). |
163; 19, 21 |
〔二つの〕 |
二つの |
163; 下から1 |
2直線が与えられた比を |
2直線が互いに与えられた比を |
163;注8, 6行目* |
扇形の比が |
扇形の比と |
164; 2 |
2直線が与えられた比を |
2直線が互いに与えられた比を |
165; 下8 |
一辺AZが与えられた正方形の |
一辺ABが与えられた正方形AZの |
166; 12 |
必ず比も |
必ずしも |
188; 下5-4 |
命題6-16, 17 および11-34を |
命題6-16, 17 および11-34(いずれも等積定理)を |
189; 6 |
カントル |
M. Cantor |
191; 注8, 2行目 |
3倍の比 |
3重の比 |
194; 7 |
いる. |
いる(第5巻定義9は2重比の定義). |
201; 下1 |
以下の議論の |
以下の議論を |
206; 15 |
単にそれを2倍することが困難な課題となる. |
それを2倍にせよという単純な課題でさえ困難な問題を引き起こす. |
207; 8 |
したがって, |
また, |
211; 2 |
本質の本質的な |
主張の本質的な |
211; 5 |
これが解釈が |
この解釈が |
215; 13-14* |
書簡は |
書簡 |
215; 18* |
地雷源 |
地雷原 |
217; 16* |
(『ソクラテス以前哲学者断片集』), |
(『ソクラテス以前哲学者断片集』) |
218; 10* |
次にあげる |
あげる |
218; 19* |
概要紹介. |
概要紹介 |
227; 9 |
Archive for History of Exact Sciences 19: 211-290 |
Archives internationales d'histoire des sciences28: 183--244 |
227; 12 |
Incommensurabitily |
Incommensurability |
234; 下13 |
Techinique |
Technique |
240; 右19 |
ポルフュリオス |
ポルピュリオス |
244; 下3 |
本作り |
本づくり |